MEMORY
INSIGHT 64
意味がないと思えることが、自分の枠を拡げる。
意味があるかどうかは、自分の枠の中での解釈でしかない。
意味がないと思うことは、自分の枠の外にあるという証拠。
意味がないと思えることをやって、そこに新しく意味を見出すことが、自分の枠を拡げることではないか。
INSIGHT 63
評価は他者基準で他者がするもの。
反省は自分基準で自分がするもの。
そう考えると、評価あっての反省は、他者基準よりも自分の基準が上にあることだから、
そういう構造になっていること自体が、成長し続けられるという証左なんじゃないかな、と思う。
INSIGHT 62
トランジション成功の秘訣は、組織のタブーを知ることかもしれない。
環境(組織)へ適用する過程において、知らなかったとはいえタブーを犯すと、
所属員にレッテルを貼られ、関係性を築くのが難しくなる。
いつかはタブーを超える必要があっても、それは関係性を築き組織に適用してからが良いのでは。
IDEA 2
1on1を上司と部下で行うのであれば、上司にも第三者の聞き手が必要かもしれない、そんな風に最近思います。
1on1は、もともとはグーグル、マイクロソフトなどのシリコンバレーにある企業が、
Face to Faceのコミュニケーションを1対1で実施したことをきっかけに、生まれた言葉だと言われています。
日本では、2012年にヤフー(現LINEヤフー)が1on1ミーティングを導入し、その頃から、あらゆる企業に広がっていきました。
今の1on1は、上司と部下という関係性に閉じず、部署を超えて行われていたり、
またコロナ禍もあって、対面でもオンラインでも、形式を問わなくなっていることから、
個別に1対1のコミュニケーションを行う、というミーティングの形態を表す言葉になっているかもしれません。
そのため、進捗共有や人事評価、キャリア相談を目的としたものもあれば、
人材育成を目的として、コーチングやメンタリングが行われることもあります。
ただ、いずれの目的であったとしても、相手の話を聞くということは欠かせない、と考えています。
(相手の話を聞かないなら、それはミーティングというより、指導とか指示・命令といった別のものかと)
では、相手の話を聞くと、どうなるのか。
臨床心理士の東畑開人さんは、著書「雨の日の心理学」にて「話をきくことでおかしな関係になる」と伝えています。
皆さんにも経験があるのではないでしょうか。
相談を受けて、いろいろと話をきいている。頼りにされていると思っていたのに、ある日突然相手との関係が変になっていたことに気づく。
恋愛感情を向けられていることもあるでしょうし、深い憎しみを向けられていることもあるでしょう。
すさまじい軽蔑を受けていることだってあるかもしれません。
とにかくおかしくなっている。
東畑さんは、精神分析の観点から「転移と逆転移の理論」をもとに、上記の現象をわかりやすく説明されていますが、
端的に言えば「僕らの人間関係というものが、過去の繰り返しである」と伝えています。
毎回同じような理由で人と揉める。別れる。
同じようなことで自分が傷ついたり、相手を傷つけてしまう。
そのような経験が、あなたにもあるかもしれません。
上司と部下との1on1においても、そのようなことが起こり得ます。
「どんな上司も、結局は数字しか見ていない」とか、「上司に相談をしても、面倒くさいと思われるだけ」とか、
部下にとっての「上司とは、○○である」という思い込みや捉え方が、上司と部下との関係性を定義づけてしまう。
上司としても「自分は信用されていないな」とか、「本音を話してくれないな」と内心では思ってしまって、
部下との関わりを諦めてしまう。
もしこのような状況になってしまい、それを変えようと思ったら、
上司と部下のどちらかが、関係性を変えようと試みる必要があります。
ただ、関係性を変えるというのは、とてもエネルギーがいることです。
本音を話してくれない相手に、本音を話してもらえるように根気強く関わる。
自分が信用されていなくても、まずは自分から相手を信用する。
言葉で表現するのは簡単ですが、これを実践し、続けようとすると、胆力が問われると思います。
そうすると、どうしても余裕がなくなると言いますか、我慢する、ストレスが溜まる状態になることから、
そのストレスを一緒に受け取る、余裕をともにつくる存在が必要になると思います。
これが、冒頭に記載した「第三者の聞き手」です。
この聞き手は、カウンセラー、コーチ、メンター、アドバイザーなど、どのような役割の方でもいいと思います。
むしろ同僚でも、先輩でも、社長でも、家族でも。
ストレスをともに受け取ってくれる相手であれば、役割は関係ないかもしれません。
そんな聞き手がいるからこそ、自分が自分でいられる。だからこそ、相手と向き合える。
人には人が必要なんだと、つくづく思います。
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【参考文献】
本間浩輔「ヤフーの1on1―部下を成長させるコミュニケーションの技法」, ダイヤモンド社, 2017年3月25日
東畑開人「雨の日の心理学」, 角川書店, 2024年9月2日
IDEA 1
トランジションには、その人の傾向が顕著に表れる、と最近考えています。
トランジション(transition)は、広辞苑によると「ビデオ・映画などで、シーンが変わる際の画面の切換え効果」と書かれていますが、
ここから派生して、ビジネスでは「役職や役割、責任範囲が変わる際のキャリアの移行時期」と言えると思います。
金融業界であれば、他の支店に異動する。商社であれば、海外に駐在する。グループ会社であれば、子会社に出向する。
そういったケースが、トランジションに当てはまります。
トランジションは、新しい環境に身を投じることでもあるので、
いわばゼロベースで、人との関わり方を築く、環境をつくるということでもあります。
そして、そういう状況では、その人の価値観が顕著に表れるように感じます。
言い換えれば、誰も知らない集団の中に入ったとき、人は自分の価値観に基づき行動する、ということです。
これは、一歩引いて考えたら、当たり前のように思います。
自分以外の誰も知らない集団の中に入ったら、何が正しくて、何が間違っているのか、評価・判断ができないからです。
そうすると、これまでの自分の経験をもとに判断するしかありません。
それはつまり、自分の価値観をもとに行動する、ということになります。
トランジションにおいて、例えば、
間違えないこと、正確さといったことを大事にしていたら、まずは状況把握すべく、様子見というスタンスを取るかもしれません。
また影響力やスピードを大事にしていたら、まずはメッセージを発信したり、積極的に問題に介入して解決する、という行動を取るかもしれません。
留意すべきなのは、どのような言動を取るにしろ、メリットとデメリットが表裏一体にある、ということです。
正確さを意識していたら、周りからは「スピード感がない」と言われるかもしれませんし、
まずは行動ということでメッセージ発信をしたら、周囲とのハレーションが起こるかもしれません。
またトランジションは、受け入れる組織からすると、
人が代わる、つまり組織が不安定な状態になる、ということと同義なので、
組織にいるメンバーは、否定的に捉える傾向があると思います。
トップの交代であれば、組織への影響力も大きいことから、尚更でしょう。
トップでなくとも、役職が高いと、現場まで階層がいくつか連なることが多いと思うので、
自分が発信したメッセージがゆがんで伝わり、否定的な受け取り方をされることもあると思います。
そういった側面を踏まえると、
トランジションでは、ネガティブな影響力(自分が意図しない影響)をどれだけ早く察知できるかが、欠かせません。
そういった情報が上がってくるように、いかに周囲と関係性が築けるか。
トランジションの肝は、人との関係性の築き方にあるように思います。
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【参考文献】
新村出「広辞苑 第七版」, 岩波書店, 2018年1月12日